「マレーシアの女性ゴルファー4名組 ~札幌滞在で感じた事」
- 2019年07月05日
- その他
マレーシアの女性組ゴルファー4名が約1週間札幌に滞在し、ゴルフ&食&観光を満喫しました。
彼女たちはマレーシアの名門コース/TPCKL のメンバーで、マナー&ゴルフレベルも素晴らしく、プレーも早くて前がいなければ1R/4時間を切るペース。イギリス仕込みの現地マレーシアの難コース&プレーに慣れている彼女らにとっては、日本のコースのレイアウトは簡単らしく、今回も毎ラウンド誰かがバーディーを取っていました。
そんな彼女らが日本/札幌でのプレー中に感じたのは、意外にも日本人ゴルファーのマナーの低さでした。スロープレーで前を大きく空けても気にしない日本人ゴルファーが多い、前組か詰まってどうしようもない状況にもかかわらず、後ろから打ち込んでくる日本人、ディポットやターフを直さないetc… 。日本人は表面上マナーが良いと世界では言われ続けて来ていましたが、実はここ最近の日本は、疑問に感じる現象も多々あります。義務を果たしていない人までも個人の権利を主張するあまり、真に大切な本質やマナーが置き去りになっているようにも感じます。
過去は否定的だった、観光分野での最近の日本の海外インバウンドも大きく変わって来ました。ブームとともに変化&相乗する動きは悪い事ではないものの、一方で本質を理解しないまま拝金主義中心で進んでしまうと結果長くは続かない恐れも感じます。最近の日本は(学校や会社を含め公衆や学びの場で正しく)怒られるという場が極端に少なくなったせいか、理解不能でおかしなクレームや個人的な主張も多く散見します。義務や責任を果たしていない人までも、権利を声高に主張すれば、まかり通ってしまう風潮が多くの問題の根源だと感じています。
明らかなスロープレーでもコース側がお客さんのクレームを恐れ注意できない、追い越し車線をゆっくり走行&左から追い越され危険な状態なのに全く気付きすらしないetc…。このようなケースは、昨今の日本では多く見受けられ、上記のような方に限って逆に他人に対して強くクレームを言ってくる場合が多い。明らかに感覚がずれている人でも権利が守られる風潮は即止めるべきで、自分のスロープレーさえ気づけない人にはプレー中断&退場等の厳しい対応を取らない限り、永遠に気付けないと思いますし、他人に迷惑をかける層の人達が更に増えて来ると感じます。マレーシアのコースでは、日本よりもマナーやルールに厳しく、2~3回マーシャルに注意され改善がなければ、メンバーでも即プレーを中止されられます。また、理由なく前組に打ち込んだ場合には3~6ヵ月間のメンバーの権利の使用停止となりますし、土日のプレーキャンセルには高額なキャンセルフィーが取られます。日本では全ての人への権利&平等が、行き過ぎた形で浸透してしまい、逆に悪平等やマナーの劣化が進んでしまったと思うのは自分だけでしょうか。
ここで自分が一番言いたいのは、日本人自身が世界全体のなかでの真の立ち位置や姿、日本の現状にも気づいていない事が多くなっており、早く気づき修正できないと、自分の国の外で起きている世界での競争や進化から大きく立ち遅れてしまうのではないかという危機感です。
ガラパゴスとも言われて久しい日本ですが、一番問われているのは今なのかもしれません。海外からの観光客数が3,000万越えと大騒ぎしている日本ですが、これも自ら仕掛けたというよりは、海外のお客様が向こうから勝手に来てしまったという解釈&現象の方が正しく、逆に過去の数があまりにも少なすぎただけかもしれません。大きな観光名所もなく、人口僅か3000万(日本の1/4)のマレーシアですら、かなり前からコンスタントに年3000万近くの海外観光客を呼び続けている事実があります。アジアの人はマナーが悪いとの声も多く耳にしますが、これも一部の国&一部の人達の話であり、こちら側の注意喚起が出来ていない要因もあります。マレーシアのゴルファーは総じてマナーやルールの意識が高いですし、他のアジアを含めマナーの良い国や人達がたくさんいるのに、一部の報道だけで偏った偏見を持ち、自分の目で確かめもせず全てを判断してしまうのも日本人特有の良くない傾向だと思います。5~6年前はアジア客に対し完全に上から目線だった日本のホテルや観光関係者も、今は(本質の理解は別として…)逆転現象とも言えるほどスタンスが変わりました。しかしながら、日本のゴルフ&コース関係者は一部を除き未だにガラパゴス&鎖国に近い感覚が残ったままです。
いずれは気付く時期が来る(外からお客様が勝手にやって来て、結果として逆に気付かさせられる)と思いますが、そのタイミングが遅ければ遅いほど、世界の立ち位置では完全に出遅れた状況となってしまいます。よく言葉が話せないから etc..とか理由を並べる方が多いのですが、実は原因は言葉ではなく、ちょっと一歩前に出て自分の目で確かめる動きがあるかないか程度でわかる事がほとんどなはずです。また、海外のお客様に対しては、言葉以上に気持ちの方がより大切です。言葉は話せないより話せた方が良いのは事実ですが、どんなに完璧な言葉があっても、お客さんに対する敬意やホスピタリティがなければ一瞬で海外のお客さんに見抜かれているはずです。敬意のない上から目線の対応だけは絶対に避けるべきで、自分はそういったケースを幾度となく見てきました。お客さんの方が先に見抜いていますが、そのようなゴルフコースやレストランには例え一流であっても連れて行きたくありません。海外のお客様でも、その言動は言葉がわからなくても一瞬で見抜きますし、そのような胡坐をかいた対応は、国内/日本のお客様もいずれ離れていくと思います。
海外/アジアからの観光客がこれだけ増えているという現象は、他のアジア諸国の所得や立ち位置が、日本よりも上がっており日本に来やすくなっているという背景にも気づくべきです。裏を返せば、ここ約20年の日本の所得の伸びや経済成長が他国よりも低いまま、国内しか見ていないうちに、既に海外との競争に負けてしまっているという事実に早く気づかなくてはならないのです。日本や北海道には素晴らしい素材がたくさんあるのに、意外と当事者は気付いていません。少し目線を広げれば、この先の踏み出し方次第で大きく変われるチャンスがたくさんあるはずです。